リクルート|boss(ボス) hair

「トップの考え方が変われば店は変わる」
コミュニケーション重視で人が定着

大阪で直営6店舗、のれんわけ店2店舗構えるboss グループ。地域に愛されるサロンを率いるオーナーの飯田三樹さんは、理容の日本ナショナルチームに参加し、国際大会日本代表を始めAll JAPANヘアーフェスティバル総合チャンピオンなど数多くのコンテスト受賞歴の持ち主。現場に立っていた20 数年前に、boss グループをスタートさせたが、今は現役技術者を引退。人財育成に全力を注ぐ。
「コンテストにうちこんでいたころは、店を空けることが多く、店に戻ると出てこなくなったスタッフがいるなど何か問題が起きているんです。当時は、自分の技術を廂くことが僕にとっての夢でした。学びに来ている子も多く、ついてこられなければ仕方がないと昔気質の職人肌でした。一方でひとりの人間としては、人が辞めていくのはとても寂しい。心では泣いていましたね」。
現役を退き、経営に専念す ると決めてからは、180°考え方を変えた。ある中小企業の勉強会で、コーチングを学んだところ、‘‘人の話を聞いていない”ことに気づく。以降、トップダウン型からコミュニケーション型に移行。人財育成を第1として、スタッフとの対話を重んじ、スタッフとご飯を食べに行くように。また、週に1回はスタッフの誰かが飯田さんのご自宅で、奥様の手料理を食べに来ている。オーナー夫婦が力を合わせ、スタッフとの心の壁を取り払うことに努めてきたという。

スタッフは、大切な我が子
辞めたくならない店づくりを

飯田さんが親父で奥様が母親。グループの基軸にあるのは、 「boss は家族！！」という考え方だ。
「スタッフを家族だと考えると、アシスタントは赤ちゃんみたいなもの。いちばん大切に守ってあげなければいけない存在です。もちろん、仕事上の上下関係は必要ですが、厳しすぎる徒弟制度は家族にはそぐいません。育成理念には、『我が社は“ありがとう”育成業である』と掲げています。我が子には、美容の仕事を通じて、人とともに生き、たくさん“ありがとう”をいただける人間になってほしいですね」。
「親父」として慕われる飯田さんには、‘‘辞めない店づくり”という発想はない。目指すのは“スタッフが辞めたくならない店づくり”だ。
「のれんわけ制度で独立を支援す るにしても、bossファミリーの一員としてお付き合いを続けていきたいと思える関係性がベースにあって成立します。それがなければ『この店を譲る』と言っても、『いらない』となってしまいます。美容業はすべてが人間対人間なのですから」。